前回小説の感想をあげたので今回はボイスドラマの感想です。
脚本を担当した「死体埋め部の栄光と旅路」の配信が始まりました。何卒よろしくお願い致します。奇妙な死体を巡る青春と承認と共犯のミステリーです。 https://t.co/ZV8F1Oxd8l
— 斜線堂有紀 (@syasendou) 2020年5月25日
「奇妙な死体を巡る青春と承認と共犯のミステリー」というフレーズを復唱したくなったのでこのツイートを張りました。
告知動画は1分だけですがエッセンスが詰め込まれすぎて情緒がバグりますし、なんと序章(すごい大事なシーンが入ってる)は無料で聞けるし、ウェルカムぶりがすごい。原作を知らない人にも優しい。
小説版とタイトルが異なっていることからもわかる通り、原作とは別の世界線でパラレルの話になっています。そのままの部分もあるけれど、違うところの方が多いです。というかほぼ全く新しい話と言っていいので原作未読でも楽しめますし、既読勢の息の根は絶対に止めると言わんばかりの展開なので、情緒がめちゃくちゃになりました。しかもこの既読勢の息の根を止める手法が上手すぎるし、遅効性の毒みたいに後からじわじわ体に効いてくるやつでした。斜線堂先生許せない……。
「死体埋め部の栄光と旅路」は未読でも楽しめるものの既読者だとなるほどなと思えるところがあるように作った物語なんですが、一番大きいところは今回取り上げられた謎そのものと原作祝部のラストの顛末のリンクなので、よろしければそちらもお楽しみください
— 斜線堂有紀 (@syasendou) 2020年5月26日
なるほどなじゃなくて、息の根を止められたんだよなあ!!!!!!!!
キャストの演技も文句なしに素晴らしくて、本当に織賀先輩と祝部くんが喋ってる…!と思いながら聞いていました。告知動画の「助けてやろうか?」の時点でちょっと完璧すぎてエグかったので、本編聞いてる最中もエグい演技で殴られ続け正気保つのに必死でした。
織賀先輩役の新垣さんは個人的にはFate/Zeroの雁夜おじさんが印象強くて、爽やかで正統派の良い声がめっちゃ好きだったのと、演技も当時例のシーンには震えたので、それ以降ふんわりと好きな役者さんだなあと思っていた方でした。
告知動画の時点であまりにも正解を叩き出していたので期待しかなかったんですが、本編聞くとマジでめちゃくちゃエグい。織賀先輩の何考えてるか全くわからないしどうにも好きになれないのに、大事なところで絶対に抗えない悪魔的引力を発してくる感じがそのまま音声になっていて、聞いてて頭おかしくなるかと思いました。エグい以外の感情を失った。愛情表現のそれじゃなくて、人をたぶらかす悪魔の甘さで(一種の愛情表現的なところがないとは言えない)、ゾクゾクしました。
あと既読勢だから織賀先輩はあれでいて祝部くんにはだいぶ本音を喋っていることがわかるんですけど、あまりにも感情を読み取らせない喋り方なので未読勢には軽口にしか聞こえない感じとかすごく良かったです。語尾の抜き方とかも本当に脳が溶ける。たぶらかされる祝部くんの気持ちがわかる。
祝部役の田丸さんは、ツイステで「アズールの相棒」の称号を設定しているくらいヤクザ寮にズブズブになっているので、ここ最近声を聞く頻度がめちゃくちゃ高い方で、上品で独特な感じの声がめっちゃいい~~!となっていました。
祝部くん、可愛い(庇護欲をそそる)と可愛い(加虐心を煽る)があってめちゃくちゃ良かったです。「助けてくれるんですか?」の怯えたウサギみたいな感じ、織賀先輩がうっかり手を伸ばしてしまうのがめちゃくちゃわかる。出会いのシーン、織賀先輩が手を差し伸べたくなるのも、祝部くんが手を取ってしまったのもめちゃくちゃ気持ちがわかるお芝居になっているのがとても好きです。
慌てたり、そういうこと言うと嫌いになりますからね!とかめっちゃ可愛いんだけど、途中の怒涛の推理パートで「え何なんコイツ……?」ってなるところが良い。
いや本当文句なしの出来でこんなんお出しされたら、小説版なぞったやつも聞きたくなっちゃうじゃん!!!!!!って思って今いました。というか聞きたいです。小説版の終盤の展開が癖すぎてボコボコになったので、どうにしか聞けないですかね……えらい人……。
以下原作ネタバレを含む感想を箇条書きして締めます
・織賀先輩の「失うもんがたくさんある奴はいいよなぁ~~~」が刺さりすぎた
・「俺は天体観測同好会の織賀善一に出会いたかったですよ!!!」そうだね……そうだね……からの
あの台詞がなんだかさくっと柔いところに刺さったので星の名前を調べる織賀先輩
— 斜線堂有紀 (@syasendou) 2020年5月26日
織賀善一ほんまそういうとこやぞ
・というか最初の事件が入学式で、このとき祝部くんがでっちあげに使った「獅子座流星群」の見頃が11月なのはどういう……?しかもやりとりからして祝部くんの事件を除いて初の事件っぽいし……?春から秋まで関係性続いてるのに、まだ関係性こじらせ具合がひどくないの震える
・今回の事件、完全に2人の関係を意識して作られたものすぎる。祝部くんの「どうせ同じ墓に入れないくらいなら、あの人が生きているかもしれないと言い張れる7年がいい。僕にもその気持ちはわかります」で完全に死亡。意地になって乗りもしないのにジャガーのバカ高い維持費払ってるもんな!!!!!!その気持ちわかるよな!!!!
・「俺は埋めた場所忘れたりしないから」
・失いたくないものなんか何もないはずだったのに、祝部くんを失いたくないと思っていた織賀善一
・多分ここ既読勢みんな狂ったと思うんだけど、原作だと殺し合い前後のときに出てきた「織賀先輩のせいで俺の人生滅茶苦茶ですよ!」(「滅茶苦茶になるだけの人生があってよかったなっ!」って返しもヤバイ)、「お前だけが俺の全部」「俺はお前が好きだから、祝部浩也が生き残ってくれてよかった!」というセリフが、カジュアルな会話の中でカジュアルな口調で突然出てくるのなに……ここで出てくるセリフじゃないが……??????
・そして極めつけの「さっさと出てこないと扉の脇の小窓ぶちやぶっちゃうぞ~?」ぶちやぶっちゃうぞ~?じゃない
・カジュアルな場面だから未読勢にはわからないが、既読勢は確実に息の根を止められる展開が立て続いてて情緒がめちゃくちゃになった。斜線堂先生、こうなることを見越してあえてこういう場面で原作の全然違うシチュエーションのセリフ言わせてるの鬼すぎる
・「お前の織賀先輩だよ!」があるなら「あんたの祝部ですよ」も聞きたかったが!?!?!?!?!??!?!ほんとに関係性がエッッッッロいな………。
以上です!!!!
小説もボイスドラマも最高で、こんなご時世なので在宅コンテンツで胸が躍ったり情緒がめちゃくちゃになるものに出会えてハッピーでした!