長文置き場

備忘録

【BLCD】跪いて愛を問う

”支配”されて、喜ぶなんて。

「なんでお前に逆らえないのか、もっと触って欲しくなるのか」

「人を支配したい」Dom(ドム)と、「支配されたい」Sub(サブ)。
第二の性」を持つ人が存在する世界。
生活のためSub専用クラブでキャストとして働く正己は、
転校生の悠生にSubだと指摘され命令(コマンド)された瞬間……!?

魂と本能で求め合うDom/Subユニバース!

https://www.animate-onlineshop.jp/products/detail.php?product_id=1913367

 

○キャスト

正己:小林千晃

悠生:山下誠一郎

 

キャスト発表から4ヶ月ちょっと、ようやく聞けた……!!!!

本当にこの作品に関しては4ヶ月ちょっとの間に色々あり、キャスト発表に爆沸きしたのも束の間、キャストトークつかない説*1や、これだけのボリュームなら2枚組だろうと思いきや1枚組だったなどの事案によりモチベが急降下するなどしたものの、やっぱり発売日が近づき、他の人の感想が出始めるとソワソワするわけで!!!!!前日から跪いてのことしか考えられなくて何も手に付かなかった。

去年からこの2人の組み合わせで欲しいと言い続けていたし、原作がBLアワード2021年だと次に来るBL部門で第1位だったくらいの話題作だったので、期待するなという方が無理がある。

 

前置きはこのへんにして感想。

単刀直入に言って、あまり面白くなかった。1回聞けば十分だと思った。あまり長文書く気も起きないのでサクッといく。

面白くないと思った理由について。

話が面白くなかったのか。違う。好き/好きじゃないと面白い/面白くないは別の軸だと思っていて、似た系統の作品でいったら歌舞伎町バッドトリップの方がだいぶ好きで、跪いては正直好きな話ではないんだけど、でも面白い話なのはわかる。ストーリーもちゃんとしてるし。

キャストの演技がイマイチだったのか。これも違う。詳細は後述するけど、2人の演技はすごく良かったし熱演だった。

ではCD化される上で大幅なカットや変更点があったのか。これも違う。カットや変更もなく原作に忠実なCDだった。

ストーリーがしっかりしている原作で、キャストの演技も良く、大幅なカットもない原作に忠実なドラマCDなのになぜか面白くないという不可思議な現象が起きていた。

 

何でこうなったかといえば、ボリューミーな原作を無理に1枚に詰め込んだからだと思う。2枚組にすべきだった。とにかくぎゅうぎゅうに詰め込んだせいで各エピソードごとの間がなく余韻が死んでいて、1つ1つのエピソードの印象が弱くなった結果、原作ではあんなにドラマチックな話がCDで聞くとめちゃくちゃのっぺりした平坦な話に聞こえてビックリした。聞いている間ずっと「原作もっと面白かったよな!?」って思った。

絡みシーンでいえば、この作品エロもかなり多めなのに、全然エロくなくてビックリした。フェードアウト多くて1回1回が短いのでとにかくじっくり楽しませてくれなくて、ストレス溜まったなあ……。絡みシーンに駆け足を感じたのは初めてだった。千晃くんのSEどんなもんになるんだろうって思ったけど、そんなの吟味する間もなく爆速で絡みシーンが終わっていって「????」ってなった。

全体的に倍速視聴しているかのような感覚になるCDで、正己が悠生に出会って心情が変化していく過程とか、濃密なラウンドシーンとかもっとゆったりとしたテンポで楽しみたかったなあと。話も絡みも薄味に聞こえるから、話が良いから絡み物足りなくてもいいとか、話面白くないけど絡みはエロいから良いとか、そのどっちにもならんという。

 

演技の話をする。正直ストーリーが薄味に聞こえたので、それに伴って演技も……というところではある。なんか原作の良さもキャストの良さももっと破壊力増し増しにできたよねって思っちゃうなあ……。

山下さんは最初から何の不安もなく絶対外すわけないと思っていたのだが、安心と信頼の山下さんですごくよかった。付録小冊子のインタビューでDomについて、

豹変というわけでもなく、性格が悪いとかSっ気っていう単純な話でもなく。そういう本能を持って生きている人、そしてそういう世界だということがあるので、バランスのつけかたというか、急に人が変わるようなサイコな感じではもちろんないですし、生理現象としてどう違和感なく芝居をするかというのは悩んだところでした。

と語っていた通り、普段と行為のときで豹変はするものの加虐心とか悪意を持ったSっぽさはなく、根底には正己への愛情とか心配が感じられるお芝居ですごく好きだった。似たような攻めをやっていそうで、意外と今までにない攻め。あとこのDom分析的確すぎんか?「生理現象」って表現がすごい腑に落ちた。

悠生くんの見せ場でいえば、正己くんのバイト先に乗り込むシーンだと思うのだが、あの物静かにブチ切れてる感じとかめちゃめちゃ良かったな……。でも1番印象的だったのは終盤の「正己くん、大好き!」のセリフ。この「大好き!」の言い方がめちゃくちゃ大好きが溢れててたまんない……。

 

そして千晃くん。メイン2作目かつ、ピュアピュアな彼いるとは180度違うハードな作品だからどうなるかな???と心配もあったのだけど、熱演だったと思った。

彼いるから薄々感じてたのだけど、どうも千晃くんの喘ぎはわたしの性癖に刺さる感じではないのでそのへんは差し引いて聞いてしまうけど、普段のツンギレな感じとはガラッと変わって乱れまくったりトロトロになっている感じがすごく伝わってきたなあと。

とはいえ場数少ないがゆえの粗さとか不安定さはやっぱりあって、苦しそうでやられ声みたいに聞こえるときと、めちゃくちゃ色っぽく聞こえるときの波が絶えずある感じかなあ。まだまだブラッシュアップの余地が多分にあるんだけど、でもマジでめちゃくちゃ色気のある瞬間もあるところが面白いのよなあ。特にトラック3の指をしゃぶるシーンはトロトロ感もあいまってすごく好き。これからブラッシュアップされることを期待したい。

 

このくらいかな。

いや最初の方で結構なこと言ったけど、原作は面白くて、カットもされてないし、キャストの演技はすごく良いので、楽しめる人は楽しめると思う。話の間やテンポに激しく違和感を覚えているだけなので、結構聞き手の感覚によるところでわたしが過敏なのかなあとも思うし。

ただなんか100点オーバー軽くできるはずの原作とキャストなのに62%しか良さが伝わってこない微妙さを終始感じるところがあり、楽しみにしていた4ヶ月ちょっとを返せ!というほど落胆しているわけじゃないんだけど、不完全燃焼が1番今の気持ちに近い。もっと作品とキャストの良さを引き出せたはずっていう……。なんか漫画を機械的に文字起こししている感を拭えなくて、自分のペースで読み進められる漫画と最初からペースが決められたCDだと適切な間とかテンポ感って変わってくるから、もっとそのへんCDに最適化できたんじゃないかなあと思ったりはした。絶対2枚組の方がよかったなー!!!

山下さんのオタク的にはオムニバスで山下さんのカプ25分しかなかった三兄弟の方がずっと満足度高くてめちゃくちゃリピったし、何なら同日届いた雑誌付録CDのみなと商事コインランドリーの方がゆったり演技味わえてお腹いっぱいになれたな……。

 

そんな感じでちょっと色々思うところがありすぎた作品だった。あと愛を問うたその先になかったよね…!?あれめちゃくちゃ好きなのに!「present」「真ッ赤♡」聞きたかったんだが!?多分何月号かの付録でつくんだろうけど、そういう情報先に言ってもらえないとか、キャストトークCDの時差とか、小冊子と雑誌のインタビューが丸々同じとか、他のレーベルと比べて振り回されている感じがすごくするのも思うところの一環であり、このレーベルと相性が悪いなと思わされた作品でもあった。

*1:シェリプラス2022年3月号の付録でつくけど、何だこの謎時差