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備忘録

魔女見習いをさがして 感想

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大学4年生の終わり、最後の春休みに、ふとおジャ魔女どれみを全部見返そうと思った。2ヶ月以上もある長期休みなんて次いつあるかわからないし、社会人になってしまったら見る時間も取れないと思ったからだ。

ちなみに全シリーズの好きな回の感想をまとめた記事がこちら。

mito-913.hatenablog.com

 

そしてちょうど全シリーズ見終わって間もない頃、この映画が公開されることを知った。あまりにもタイムリーで絶対見に行く!と思った。コロナのことがあり当初の公開予定日からだいぶ延期してしまったが、無事公開されて本当によかった。

 

先に書いておくと、おジャ魔女どれみリアタイ世代は絶対に楽しめるし爆泣きするので行った方がいい。見る前にシリーズを見返しておくと「このときの話ね」とわかるのでより楽しめるが、リアタイ以来だったとしてもおジャ魔女どれみで育った思い出さえあれば十分だ。

逆に言えばリアタイの思い出があるもしくはシリーズを履修していることは前提である。リアタイで見たことがなくシリーズを履修していない人が見ても、あまり楽しめないだろうと思う。良くできた話ではあるが泣けるまでは行かない気がする。

 

 

わたしとおジャ魔女どれみ

これは自分語りなので感想見たい人は目次から該当の項目に飛んでほしい。

 

わたしは無印からリアタイしていたのではなく、リアタイした記憶がハッキリとあるのはも~っと終盤からドッカーンである。なので1年か2年生まれるのが遅かったらきっとプリキュア世代だっただろうし、多分わたしはほとんど最後のおジャ魔女リアタイ世代じゃないかと思っている。

ちびっこのときのわたしはもっぱらスーパー戦隊に夢中だった。女児向けアニメにはほとんど興味がなかった。わたしの世代の女児向けアニメは色々あると思うが、わたしがリアタイで好きだったのはおジャ魔女どれみしかない。多分おジャ魔女どれみは戦隊の流れで見られたのが大きかったのだと思う。

ちなみにセーラームーンも好きだが、再放送でハマり後からDVDや配信でシリーズを補完したのでおジャ魔女どれみのような世代作品!という感じはしない。わたしより年上の世代の作品という感覚が強い。

戦隊は中学にあがるまで欠かさずリアタイしていたのだが、女児アニメ枠はどれみちゃんが好きすぎてナージャプリキュアも受け入れられなかった。ふたプリやプリキュア5も見たが、小学生のわたしは「どれみちゃんの方が面白い」と思い視聴を続けることができなかった。現行に馴染めない代わりにどれみちゃんのビデオを繰り返し見ていた。

 

見る前

どれみちゃんたちがメインの話ではないということは公開前明かされる情報でわかっていた。これに関しては全く心配はしていなかったし、むしろ大歓迎とすら思った。わたしと同じくおジャ魔女どれみで育ったキャラクターたちがメインの物語であることにはすごく好感を持っていた。

むしろ情報が出れば出るほど、おジャ魔女をリアタイしていた20代以上の大人に潔くターゲットを絞っていることがわかりどんどん期待が募っていた。

 

ただメインキャストが芸能人声優ということには不安を抱いていた。確かおジャ魔女どれみのメインキャストもド新人だったり違う畑の人だったりしたと思うが、何十話何百話もあり成長の余地があるテレビシリーズと1回しかない映画は違うだろ!と思った。

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予告を見たところ不安な演技力すぎてウッ……となっていたのだが、予告だけで既に泣いていた。どれみちゃんの思い出パワー>>>>>>>>>>>>>メインキャストの不安すぎる演技力であることを理解した。

もう「ピーリカピリララ」で泣いたし、2本目の予告なんか終わらない物語流してくるのマジでズルい。大体泣ける回で流れてるから(個人的にかよちゃん3部作のイメージが強い)、パブロフの犬みたいにかかった瞬間泣く曲。

あと「大人になっても あの呪文は、まだ覚えてる」って煽りがズルい。実際去年おジャ魔女どれみ見返したときに、もう10年15年以上見てなかったのにマジで呪文覚えてたから、それだけ体に刻み込まれているフレーズだと突き付けられて泣く。

 

絶対映画館で号泣するだろうなということは十分わかっていたので、ハンカチではなくハンドタオル持参で見に行くことを決意した。

 

本編感想(ネタバレ全開)

話について

やっと本編の感想。ここまでで1800文字近く書いてしまった……。本編見ても泣いたし書いている間思い出そうとしても泣いて冷静になれないのでめっちゃぐちゃぐちゃ。

 

見る前に「開始5秒で泣いた」という感想を何回か見て、これ誇張じゃなくマジだろうなと思い震えていたところ、開始1秒で泣いた

どれみちゃんたちが出てきて話してる時点で約20年ぶりの再会の喜びにマジで涙止まらなくなる。もう声聞いただけで泣ける。からのバラード調にアレンジされたおジャ魔女カーニバルが追い打ちをかけ、開始3分ほどで通常の泣き映画1本分は泣いていた。

開始即涙腺がバグるのでこの映画は泣いているのがデフォになる。

 

どれみちゃんたちは最初と最後にチラっと出るだけで、この作品はおジャ魔女どれみで育ったソラ・ミレ・レイカの3人の女性たちの話である。

おジャ魔女どれみが好きという共通点がありながら、ドッカーンのみをリアタイしていた22歳のソラ、無印からリアタイしていた27歳のミレ、リアタイ世代ではないものの再放送でハマり配信で全シリーズを見た20歳のレイカと、関わり方がバラバラだったのがすごく良かった。おジャ魔女どれみが好きといっても無印からリアタイしている人ばかりではないのでこの設定はすごく良かったと思うし、再放送からの配信という入り方もカバーしているのが良い。

 

それでそれぞれに推しがいるんだけどわかるわって感じなんだよね。

どれみちゃん推しのソラはおしとやかな性格で、進路も両親が教師だから自分も教師と親に流されているのがはづきちゃんみたいで。もはやまんまはづきちゃんじゃんって感じ。そりゃどれみちゃん好きだわって思う。

あいちゃん推しのレイカは幼少期に両親が離婚して、大好きな父親と離れ離れになってしまった過去を持っている。性格はどれみちゃんに近い明るさと愛嬌はあるが(てか夏菜子ちゃんの声がどれみちゃんにめっちゃ似てる)、あいちゃんの系譜でもあるので、レイカ周りの話は重めだし泣ける。

はづきちゃん推しのミレは他2人と比べると「なんで?」という感じはあるが、帰国子女帰国子女と言われており、ズバズバ言う性格で周りとトラブルを起こしていたので、大和撫子っぽいはづきちゃんに憧れたのかな。初期のあいちゃんやももちゃんっぽい感じ。

 

もうね、どれみちゃんたち全然出てこないけどちゃんとおジャ魔女どれみの話だったのがめちゃくちゃ泣けた。何でもないシーンでも、当時のシリーズと何も変わらない話運びに、当時のままのBGMにおジャ魔女どれみへの懐かしさと愛おしさが刺激されて泣いていた。

そもそもシリーズでもどれみちゃんたち自身の問題ではない、クラスメイトのお悩み相談回がかなりあったし、悩みや問題を抱えるクラスメイトたちがどれみちゃんたちの助けで前へ一歩踏み出していた。

ソラ、ミレ、レイカの話もこれと全く同じパターンだ。直接どれみちゃんたちが関わるわけではないけれど、でもおジャ魔女どれみをきっかけに3人が出会い、どれみちゃんたちが使っていた魔法の力を信じて前へ一歩踏み出していくというストーリー展開は間違いなくおジャ魔女どれみだった。

 

当時のスタッフが集まったから当然なのだが、めちゃくちゃツボを押さえている。

イカが魔法玉に願ったことが「お父さんに会いたい」だし(あいちゃん好きな子が大好きなお父さんに会いたくてあいちゃんの呪文唱えるだけで号泣)、ソラが魔法玉に願ったのは「大宮さんに告白する勇気が欲しい」だった。

でも結果からいうとどちらも上手くはいかなかった。離婚して以来会ってなかったお父さんに「人違いじゃないでしょうか?」って言われるレイカのシーンとかしんどすぎて涙止まらなかった。ソラは振られてしまうし。でもやらない後悔よりやる後悔というか、行動を起こしたからこそ吹っ切ることができたのも事実で。このとき願ったことは上手くいかなかったけど、魔法を信じて行動したことで結果的に良いことをもたらしたという展開が好きだった。結局は魔法はきっかけに過ぎなくて、解決するのは魔法でない自分自身の力っていうのが良い。これがおジャ魔女どれみの話のエッセンスだと思うので。

 

1番テンション上がったのが三年坂だった。ドッカーンの修学旅行回でめっちゃ好きなの三年坂のシーンなので絶対拾ってほしいやつだった。自分の投げたバナナの皮のせいでどれみちゃんが転んじゃったから、自分も転んで「これで3年後悪いことが起きても俺も一緒だからいいだろ」って言う小竹めっっっっちゃキュンときたし、これを突っぱねるどれみちゃんの鈍感さとツレなさも好き。こういうことがあるのであらかじめ見返しておくとめっちゃ楽しめるやつなんだよな。

あと小竹と暁くんの対決も好きだったので、それも拾われてすごく良かった。

 

この作品、魔法やどれみちゃんたちの存在に対する扱い方も物凄く丁寧で良かった。

当時子どもだったリアタイ世代ももう大人だから、魔法はある、どれみちゃんたちは存在してるみたいな安直なことを言われても信じられるでもなく。かといって完全否定されても夢もないし物凄く切ない。

魔法については終盤のソラの「みんなそれぞれに魔法がある」という結論が全てだと思う。これだけ書けば綺麗ごとのような結論に思えるかもしれないけど、この結論に至るまでの「最終回で卒業式に出ないどれみちゃんを説得するために学校のみんなが集まってくれたのを見て、魔法使ってないのに魔法みたいだと思った。これがどれみちゃんの持つ本来の魔法なんだと思う」って話があまりにも頷けるしわたしも実際そう思ったことがあるので、それぞれに魔法があるっていう結論がめっちゃ刺さる。

 

最後にどれみちゃんたちが出てくるシーンは、今まで散々泣いてきたのに1番泣いた。ガチで号泣しそうになったけど頑張って声抑えてたくらい泣いた。

結局3人がどれみちゃんたちと直接交わることはないのだけど、魔女服を着た幼少期の3人がどれみちゃんたちと会話するシーンは、おジャ魔女を見てあれこれ夢を膨らませていた小さい頃のわたしたちのメタファーなのかなと思った。

あと最後ほうきで空飛ぶシーンは本当にヤバい。おジャ魔女見てたちびっこたちみんな同じ光景想像してたよね!?小さい頃自分もこうなりたいって思い描いてた光景がそのままスクリーンの中にあって声を抑えるのに必死だった。ずっと20代の気持ちで見てたのにこのシーンだけ女児に戻っちゃう。あまりにもここで出てきたみんなが思い出のままというか思い出そのものだから泣いてしまう。

どれみちゃんたちに直接触れて会話を交わすことはできてなくても、思い出は本物だし、当時もらった夢もエネルギーも本物で、ずっと寄り添ってくれていたから、現実にはいないけどいるんだよなあって思った。

 

ここでマジで爆泣きしてるのに、エンディング!!!!!!

開始1秒で泣くし本編も最高だけどこのエンディングを聞くためだけでも劇場に通う価値があるくらいの最高さだった。

おんぷちゃんが歌っていることは知っていたのだけど、サビで入る「みんな大好き!」と「みんな友達!」がどれみちゃんなの!!!!!この曲自体が泣きスイッチなのに、セリフで更に涙が止まらない。

てかこれCDなり配信でフル聞けないのかな……おジャ魔女カーニバル含め聞きたい……。

 

本当に見て良かった。見終わった後泣きすぎて頭痛がするという初めての経験をした。泣きすぎて顔面事故を起こしていたのでそそくさと劇場を立ち去った。あとハンカチではなくタオルで挑んだのは正解だった。

 

声優について

予告見た段階では不安要素しかなく、石田彰しかまともに演技できる人いないけど大丈夫なのか……?と思っていた。

だけど思ったより気にならなかった。というのは開始1秒で涙腺崩壊しグズグズになり、冷静な思考力を失っているからである。あまりにもおジャ魔女どれみの思い出パワーが強力すぎるので完全に思考がそっちへ持っていかれる。

芸能人声優じゃなきゃいけないとは全く思わなかったが、「この人の声聞き飽きたなあ」とか「このキャラと同じトーンだ」みたいなノイズが入るくらいだったら、まっさらな芸能人声優の方が良かったのかなとは思った。

特に良かったのはソラ役の森川葵さん。個人的に1番上手いと思ったしストレスなく聞けた。澄んだ声がとても良かった。ピーリカピリララを唱えるシーンがバッチリ決まっていたのでそれだけでも満足。

あとレイカ役の百田夏菜子ちゃんは、上手いってわけではないけれど、途中からどんどんどれみちゃんの声に似てるように聞こえてしまってい何かとにかくヤバかった。

 

追記(2020.11.16)

今冷静になって考えてみると、芸能人声優を使った理由が何となくわかった。

芸能人声優を使ったのは、彼女たち3人がアニメキャラでありながらアニメキャラではない、画面を隔ててどれみちゃんたちとは違う世界に住んでいる三次元のわたしたちと限りなく同じ存在にするため、自己投影させやすくするためではないかと思った。

どんなに甘く採点したところで、彼女らの演技力は本職の声優には遠く及んでいない。芸能人にしては上手いかもくらいの評価は下せるが。二次元のアニメ絵と喋り方が合っていなくて不自然だ。

でももしかしてこれが演出なのかもしれないと思った。彼女らはアニメキャラであってアニメキャラではない。とすれば、本職声優の絵に合わせた違和感ない喋りはキャラクターの二次元性を強めてしまう。どれみちゃんたちの世界の住人のように思わせてしまう。でもメインキャスト3人の二次元のキャラクターに馴染み切れていない絵とミスマッチな喋り方が、二次元であって二次元でない三次元の住人っぽさを強めていて、映画を見ているわたしたちがより「このキャラは自分だ」と自己投影しやすくなっているのかなと感じた。彼女らが結局どれみちゃんたちと直接交わることができない存在(映画を見ているわたしたちと変わらない存在であること)っていうのはめちゃくちゃ重要なファクターだと思うから、それをわかりやすく演出したかったんだろうな。

多分本職の声優を使って「あのキャラクターと同じ声だ」と思わせたらダメだったんじゃないかと思った。極力二次元キャラであることを感じさせたくなかったのだと今では思うし、そう考えたらこのキャスティングも納得できる気がした。

 

総括

見てよかった。これに尽きる。

もう映画全編通して、作り手のみなさんの子どもから大人になったおジャ魔女ファンのわたしたちへの愛情がたっぷり詰まっていたし、ファンに対してもファンの思い出に対してもどれみちゃんに対しても全てにおいて誠実な姿勢が伝わってきた。

本当にファンのことを考えて作ってくれた作品なのだなと心から思ったし、思い出が思い出のままで汚されることがなかったのが本当に嬉しかった。こんな最高な映画を作ってくれたことに対して感謝することしかできない。

おジャ魔女どれみを見て育つことができて本当によかった!!!!!