長文置き場

備忘録

【BLCD】少年の境界 感想

この出会いは、だれかの不幸であり、だれかの奇跡だった。
本能に従うか、恋を貫くか!

男女とは別に存在する第二の性、α・β・Ω性。Ωは男でも妊娠する。
ゆか(cv.斉藤壮馬)は、仲間内で自分だけがΩだと知り、αの友人・大我(cv.興津和幸)を恐れ、Ωであることを隠す。
しかし大人しく地味な幼なじみの薫(cv.八代拓) を自分と同じΩだと思い…そして、事件は起こる。
数年後、大人になった彼らは再会する。自分がΩであることを諦観する倫(cv.小林裕介)をきっかけに――。

https://www.b-boy.jp/special/syounen/cd/

キャスト

ゆか:斉藤壮馬

薫:八代拓

大我:興津和幸

倫:小林裕介

 

興津さん×小林さんに惹かれて購入。壮馬くんは結構BLに出ている印象があるけれど、何やかんや縁がなく今回が初。八代さんも攻めは初。

オメガバースものはαがαを抱く方法以来かな?個人的にあんまりオメガバースが好きではなくて、でもα~はあまりオメガバースっぽくなくて聞きやすかったのだけど、こちらはガッツリオメガバースだった。あとストーリー性強めなのでグイグイ引き込まれるタイプの作品だった。

 

結論から言うと、興津さんと小林さんの組み合わせに惹かれて買ったことを差し引いても、この2人の存在感が強烈すぎた。もう聞き終わった後「大我と倫しか印象に残ってねえ……」と思った。マジで優勝し倒しすぎて半端じゃなかった。まあ設定もね……大我と倫は運命の番を他に取られちゃった者同士なので……こういうの好きじゃんみたいなね……。

以下ずっと大我と倫の話をしている。

 

話としては前半の学生時代パートと後半の社会人パートに分かれている。前半はΩであるゆかへの周囲の当たりというか接し方がキツいし、大我めちゃくちゃイヤな奴だし、やっぱりオメガバース苦手なんだよなあ……と思いながら聞いていた。

大我がゆかを襲おうとしたところ、ゆかを守ろうとした薫がゆかを番にしてしまうところが後半の展開への大きな布石になる。でもって実はゆかの運命の番は大我であり、前半の時点では大我だけがそのことに気付いている。

あんまりオメガバース読んだり聞いたりしないから知らなかったけど、この運命の番ってやつがこの話のキーポイント。αとΩって単に番になるだけじゃなくて、運命の相手ってものが存在してるんだ……設定よくわからねえ……。

 

そして後半になって倫が登場する。ここから話が俄然面白くなってくる。

倫は早くどっかのαが番にしてくれないかなぁと思っているビッチ系Ω。色んなαの家を渡り歩いて今は大我のセフレをしている。

そしてこの倫こそが薫の運命の番ということが判明する。展開地獄すぎるが?

薫も倫も出会った瞬間そのことがわかって、倫は薫の番にしてもらおうと猛アタックするのだけど、ゆかがいるからと拒まれてしまう。そこからの倫の壊れていく過程が本当にすごい。

俺にはゆかがいるからって拒まれても、絶対に番にしてもらうんだ!と何度も猛アタックするのとか、抑制剤飲みすぎて極度の情緒不安定になったり、大我に心配されても薫さんの番にしてもらうんだ!の一点張りで無茶したり、最終的にはオーバードーズで病んで髪切って坊主になっちゃったり、めちゃくちゃ痛々しかった。

そのへんを小林さんが迫真の演技で演じられていて、もう途中まで「倫がすごい」の印象しかなかった。男はじのときも思ってたんだけど、小林さんの高くて可愛くてかつハスキーな声がめちゃめちゃ好きで、泣いてるときとか声が震えたりひっくり返るような場面だとそのハスキーさがめっちゃ魅力的に聞こえてグッときた。

小林さんの演技も良すぎるし、基本的にオタクって選ばれない側好きじゃん……(クソデカ主語)。最後の方までもうこの作品倫の独り勝ちじゃねえかって思いながら聞いてた。

 

そして最終トラック。ここから大我が一気に優勝をブチかましていく。

最初大我ってめっちゃイヤな奴だしゆかにひどいことしてるんだけど、だからこそ倫に情が移っていく過程がめちゃめちゃ良い。「今は良い男しててもお前学生時代クズだったじゃん」って思ってしまうかもしれないのだけど、興津さんの演技が最高すぎるのでスーパー良い男に聞こえる。ノープロブレム。

セックスさせてくれないΩを居候させる義理ねえわとか言うんだけど、結局ネカフェで襲われそうになった倫助けてるし、薫に「倫を選んでやってくれ」って頼みこみに行くのとかさあ!!!

「今はダメでもいつか絶対選んでくれる。それが運命だから」(ここの小林さんの薬キマって恍惚としてる言い方最高)、「大我言ってたじゃん。運命だけが信じられる、運命だけが裏切らないって」って倫に言われて泣いちゃうのとかマジで良すぎる。

 

で、薫と話して倫と番になる覚悟決めてからの大我はマジでずっと優勝。本当に本当にカッコ良すぎて目頭が熱くなる。全てのセリフがカッコいいし、興津さんの演技本当ぶっ飛ぶくらいに最高。何度でもリピートしたい……。このときの大我のオーバードーズで情緒不安定になってる倫を安心させようとしてるみたいな、優しく言い聞かせるようなゆったりとしたテンポで喋っているのが本当に好き。

「俺じゃ、ダメか?」「俺のことが見えてるなら、俺にしろよ、倫」も死ぬかと思うくらいカッコ良かったけど、1番ド級にヤバかったのが「お前じゃなきゃ、やだよ」このセリフだけのためにこのCD買う価値ある。「やだよ」の言い方がほんとにヤバい。何度聞いても頭がパーンってなるのでどうヤバいのか説明できないんだけど、優しさと色気と上品さと柔らかさが混ざった最強ボイスとしか言いようがない。息の混ざり方とかもマジで最強にカッコ良すぎて何なん……。とにかくこのセリフが好きすぎて死ぬほどリピっている。

もうここの興津さんがスーパーカッコいい演技すぎてここの大我と倫のシーンがクライマックスみたいに感じてしまう。「お前じゃなきゃ、やだよ」が最強すぎて本当にこれ以降の記憶が飛ぶ。記憶領域が壊れる。本当のクライマックスはこの後のゆかと薫のシーンなんだけど、ちょっと消化試合感がしたかな……。

 

というわけで途中「地獄か?」「脚本人の心あるのか?」と思いながらもハッピーエンドに終わったので良かった。暗くてシリアスな部分もあるけれど、後味は良い作品なのでオメガバースが地雷でなければ割と人を選ばない作品かなと。

てか本当に大我と倫の話しかしてない……マジでこの2人の存在感が強烈だったし話が面白かった。興津さんと小林さんのこともっと好きになってしまった。

 

壮馬くんも八代さんももちろん良かったし、八代さんは序盤の大我に襲われそうになったゆかを守ろうとするところの演技はすごく好きだった。倫という運命の相手が現れながらもまっすぐにゆかを愛するキャラクターにハマっていたと思う。壮馬くんはそつないなあ!という印象だったな。

2人は2人で良かったものの、興津小林ペアに印象負けしてたのは個人的にはどうにも否めずというところだった。何か2人が番になる学生時代の話がちょっと駆け足に感じたからなのもあるかも。

原作は3巻まであるうちの2巻分がCDになっているとのことだったので、ぜひ3巻の内容も音声化してほしいなと思った。面白かった!