長文置き場

備忘録

アニメ「アオアシ」 感想

今期山下さんの主演アニメが2つあるので、感想を抱き合わせにしようとしたら思いのほか長くなってしまったので単独であげる。

 

animestore.docomo.ne.jp

5話で止まってずっと見ていなかったのだが、一念発起して見始めてようやく完走した。元々スポーツに全く興味がなく、見たことのあるスポーツ作品は黒子のバスケテニスの王子様という超次元ものだけだったので、リアル志向の作品ハマれるかなあと不安だった。加えて5月6月は引っ越しでバタバタしていて、それからも新しい生活に慣れないといけないこともあり全く見る気が起きなかった。しかも見なくなったのがアシトが愛媛から上京する母の日回で、キリが良いところだったので余計見るのに腰が重くなったところがある。

でも山下さんが最終回放送後長文メモスクショをあげるくらいかなり思い入れがある作品っぽいので、見なきゃなあ……と思い続けていた。というわけで続きを見た。大体通勤中の電車の中とか晩ご飯作りながら見ていた。

完走したのだが、まーーーーしんどかった。とにかくアシトやチームメイトたちが壁にぶつかり思い悩む描写が多い。それに3話とか4話とか使うけれど、そこから得られた結果はカッコいいド派手な技というわけではなく、的確なパスが出せたとか、的確な指示を出しゴールに繋げられたとか、連携ができたという割と絵的には地味なものである。なのにズブのサッカー素人が見てもすごく面白かった。

福田監督を筆頭に基本的にユースの大人たちは、躓いている選手に対して答えを教えることなく、自分で考えて自分で答えを見つけ出すことを求めている。これが作品通してのメインテーマとなっているから悩む描写がものすごく多くて、得られた答えは絵的には地味な感じになるんだな。でも理論がしっかりしていて、絵的には地味なことが当たり前なことができていないからチームに大きく影響を与えていることがわかるのはすごく面白かった。前半のアシトと朝利、黒田の対立や上手くいかなさは言ってしまえば相互不理解で、答えがわかればなーんだという感じである。よくある展開だし。でもこれを面白く見せてくるのがすごい作品。ずっと俺が俺がのサッカーをしていたアシトが初めて仲間との連携を理解したときの、憑き物が落ちたような晴れやかな表情にはグッときた。

基本的に試合そのものよりはキャラクター同士の人間関係がよくクローズアップされていた印象。それは最終回に顕著に表れていて、2クールの主軸になっていた武蔵野戦の決着の瞬間を描かず、アシトと花のやりとりに尺の半分くらいを使っていたのにはビックリした。ただ武蔵野戦におけるそれぞれの抱えていた問題、橘のスランプからの覚醒、アシトのサイドバックとしての覚醒、冨樫と黒田竹島との和解、アシトと金田がそれぞれ良い仲間に出会えていたこと、と決着を描かなくても語るべきことは全部語ったから省略したのも十分納得はできる。アシトと花のやりとりも、これはサッカー漫画なので恋愛要素があまりにも前に出すぎるとノイズになりかねないけれど、ほどよい感じで良かった。最後の2人のやりとりはグッときた。

作品名やアシトの名前にあるように「人間は考える葦である」を体現した作品だと思った。

 

山下さんについては、ちょこちょこツイッターで見かけていたけれど、本当に橘誠一郎だな……って思った。山下さんが橘の苦悩がよくわかるとインタビューで語っていたのも、結構自分の役に入れ込んでいるのも何となくわかる。生真面目な性格ゆえに責任を背負いこみすぎて、結果を残せず自信喪失していたところに、今の仲間たちや古巣の仲間たちに勇気づけられて殻を破ったのは本当にカタルシスがあった。山下さんは硬派で誠実そうな声をしているので、だからこそ180度正反対のカースト上位陽キャとかゲス野郎とか無気力ダウナー系にガッツリハマるのが面白くて、そういう系統が好きになりやすいのだが、声質がストレートに活かされた役もやっぱり良い。橘のクソ真面目思考ゆえの重さがしっかり質量を伴って伝わってきたのが良かった。

この作品のキャスト、割と山下さんと同世代あたりのキャストが多くて見ていて面白かった。冨樫が八代さんだったのはビックリしたし(何も知らずに見てたら絶対わからん)、柔らかいイメージがある人だったので割とコテコテの不良演技がハマっててすごく良かったし、ほりえる演技上手いなあ……としみじみ思ったりもした。ダークマターみたいなポテサラ作るのに、演技めちゃくちゃしっかりしてるんだよな。ほりえる、声はよくいる高め可愛い系な感じなんだけど、毎度演技になんか独特の雰囲気を感じて面白い。気を許した人以外に触らせてくれない猫みたいな?

武蔵野勢とかも面白くて、江口さんこんな低音ヒールな役もやるんだなあとか。江口さん本人が華やかだから本人の印象先行しがちだけど、演技聞くと堅実な感じで何というか変にうるさくないところは割と好き。あとメイン校じゃなくて出番少なくてもおのゆーの声があるとマジで雰囲気が引き締まるなとか。興津さんにも似たようなこと思ったけども。てか武蔵野、序盤の敵ポジションなのに西山くんがいたり、監督がまえぬだったり、やたら気合いの入ったキャストですごい。

主演の大鈴くんもすごく良かった。これがアニメ初出演かつ主演だそうだけど、本当にザ・新人の荒削り演技という感じで、それこそテクニックとか繊細な表現とかはまだまだこれからなんだろうけど、そういう部分含めてアシトによくハマっていたと思う。でも熱量はすごく伝わってきたし、変にスレてない瑞々しい演技がすごく良かった。キャリア積んじゃうともうこの感じは再現できないよなーと思ったりして。何か最近主演が多い声優さんってやや高めの綺麗系の声が多い印象なので、かなりダミ声っぽかったのは新鮮だった。系統的には山下大輝さんっぽい感じかなあ。少年漫画の主人公によく合う声。

 

 

挫折したままにせず最後まで完走してよかった。本当に面白い作品だった。原作のストックはまだまだあるし、NHK枠だから長期に渡って放送されると思うので、これ以降の話もすごく楽しみ。最終回、えっここからじゃん!?!?!??!!??!って思ったもんな。自分にはスポーツものは合わないと思っていたけど、見れば面白いじゃん!ってわかったのもよかったな!