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備忘録

バトルスピリッツ烈火魂 感想

山下さんが主人公を演じたバトルスピリッツ烈火魂」(以下バニソ)youtubeで配信開始したということで、全51話になかなか上がらなかった重い腰を上げて視聴することにした。

バトスピに限らないけど、山下さんのこういうところめっちゃ好き。過去作品の配信も丁寧にコメントつけて宣伝してくれて、関わった作品みんなを愛してくれてる人なんだなあと思って。

 

いつものようにdアニメで見ようとしたところ、dアニメになくてビックリした。huluにあったのでhuluで視聴した。

わたしは過去作は自分のペースで見られる方が完走しやすいのでhuluで見たのだが、youtubeでも週に1話ペースで配信が始まっている。現時点でBNPチャンネルでの1話配信は公開終了していて、2話と3話が公開されている。だけど1話はバンダイチャンネルで見られるので、興味ある方はぜひ。

 

あらすじについては1話のストーリーを引用しておく。

時はバトスピ戦国時代。各地にS級と呼ばれる強豪バトラーが群雄割拠。バトラー達が目指すのは天下布武たるバトスピのてっぺんだ! そんなバトラーの一人、烈火幸村は関東一バトスピが盛んな都市ムサシに連れの黒田環奈とやって来た。

とにかくバトルに次ぐバトルな作劇になっているので、主人公・烈火幸村がライバルたちと切磋琢磨しながらバトスピの天下を目指す話である。

 

結論から言うとめっっっっっちゃ面白かった!!!!!

めっちゃ面白くて全51話を6日間で完走してしまった。こんな後回しにしてないでもっと早く見ておけばよかったと思ったくらいだった。もしこれを読んでくれている中に山下さんのオタクでまだ見たことないって人いたら絶対見た方がいい。山下さんの演技の変貌ぶりが追えるぞ!1年ものの作品で主役の演技が変貌していく過程はニチアサと同じ。本人もこう言ってることだし。

 

 

話としては本当にバトルに次ぐバトル。全51話でバトル以外のことは何もしていない。学校や家族の描写が全くないので、驚きの生活感のなさ。構成としては、1クール目がメインキャラの顔見せ、2クール目が大六天魔王のムサシ侵攻・奪還、3・4クール目がバトスピ全国チャンピオンシップという風になっている。

この作品はストーリーよりもバトスピバトルをいかに華やかに魅力的に描くかに重点を置いているのだと思う。とにかくバトル以外何もしていない作品なので、バトルの描き方はすごく丁寧だったと思う。ただ強いカードを出せば勝ちというわけではなく、自分の勝ちパターンに持ち込むまでの駆け引きだったり戦略的な部分がしっかり描かれていてすごく面白かった。とどめを刺すのはキースピリットでも、意外とマジックカードが戦局をひっくり返したり、勝ちの決め手になるのが面白かった。

もちろん大前提としてバトスピのルール説明もしっかりされているので、わたしみたいなシリーズをほぼ見たことがない*1ようなオタクでも大まかなルールは把握することができた。

バトルでお気に入りなのは46話の幸村vs謙信戦。謙信は相手のスピリット全てを自分の好きな順番で手札に戻すという超強力なソウルドライブ使いであり、それに加え任意の相手のスピリットを手札の1番下に戻すというカードも持っている。

こんなんどうやって攻略するんだ……と思っていたのだが、幸村はカードの山から5枚をオープンし、好きな1枚を手札にその他4枚のカードを手札の山の1番底に戻す効果のカードを繰り返し使うことで、1番底に戻されたカードを呼び戻す作戦を取ってピンチを切り抜けたのがこれぞ戦略!と思えて好きだった。

使う戦法にもそれぞれキャラが立っていて良かったし、スピリットたちはマジで本当にみんなカッコ良かった。戦国時代モチーフの作品だから基本的に和の要素が組み込まれていてめっちゃクールだったなあ!侍とか忍者とか僧侶とか。早雲と蘭丸の使うスピリット大体好きだったし、兼続のクロハガネもめっちゃ好き。幸村くんのデッキだとやっぱソウルドラゴンが好きだし連刃が好き!

和のモチーフが基調とされているからこそ、信長のデッキの西洋っぽさあるデザインのスピリットがめっちゃ異質な雰囲気出してて良いんだよね。

 

次にストーリーの話。ひたすらにバトルが続く話なので、単調といえば単調。バトルシーンが面白いと思えればバトルしかない話なので一気に最終回まで駆け抜けられる。わたしは後者だったので6日で全話完走してしまった。

気になったのは最後の幸村vs信長戦。この2人の対立ちょっと論点ズレてる気がした。信長が幸村たちのこれまでの戦いや絆を否定したのは、日本のバトラーのレベルが海外勢よりも遥かに低いことを危惧していたからだった。それが幸村たちのこれまでの戦いは無駄だったのか、バトスピで培った絆は無意味なのかという話に論点がすり替わっていた気がして、そこはちょっとモヤモヤが残った。海外勢に比べて日本勢のレベルは低い、海外勢に勝負を挑まれたらどうするんだという点についての幸村たちの考えや主張がなかったのは片手落ちではないかと思った。むしろ絆云々は幸村たちを焚きつけるためという意図もきっと強くて、信長が本当に言いたいことはそこではない気がするんだよなあ。

とはいえ信長が幸村に倒されたいと思っていることは色々な描写から伝わってきたし(あえて敵に塩を送るような真似したり)、幸村に倒されることで日本のバトスピ界に希望を持ちたかったのかもしれない。実際幸村がチャンピオンになることで、日本のバトラーたちはバトスピによる小競り合いをやめて、打倒幸村のために腕を磨くようになったわけだし。

こんなことを書いたが、幸村と利家のライバル関係は最後までものすごく熱かったし、幸村が自分にバトスピを教えてくれた信長を超えようとするのとか、しっかりポイントはおさえたストーリー展開だったので、満足度はすごく高かった。

 

キャラクターについて。というかこれ以降山下さんの話しかしません。

わたしがこんなに爆速で完走したのは、幸村くんがめちゃくちゃ好きだったからといっても過言ではない。幸村くん、めちゃくちゃ好き。

いかにも熱血なキャラデザをしていたので、ゼロスタートの熱血主人公かと思いきやそうではなかった。最初からある程度完成されており、基本的には落ち着いているし、佐助たちにとっての良いお兄さんみたいなキャラクターだった。確かにめちゃくちゃ叫ぶキャラではあるのだけど、大人っぽさもありうるさいタイプの主人公ではなかった。

序盤では山下さんにもこんな初々しいフレッシュな時代があったんだ…!と思うようなお芝居だったのだが、それがかえって幸村くんの底の見えなさというか、本当は何考えてるんだろうこの子?みたいな読めなさに繋がっていて、案外違和感なく見られる。幸村くんの4話でやっとキースピリット出してくるところ好き。

それが回を重ねるごとに、聞き馴染みのあるいつもの山下さんの演技になっていくのである。演技が変貌していく過程を見られるという点で、山下さんのオタクの必修科目アニメじゃん!!!って思った。最初こそ初々しくぼやっとした感じもあった感情表現が後半はクリアになっていくので、ノブ兄との関係性がフィーチャーされ始める4クール目からは山下さんの丁寧な感情表現の演技も見られる。薄々思ってたけど、やっぱ山下さんが演じる主人公ってどこか影があってこそって感じするよね。

これ同じこと思った人何人か見かけてるんだけど、49話で幸村を心配して泣きそうになている官兵衛に「大丈夫、行ってくる」って言って戦いに赴くシーンめちゃくちゃ好き。官兵衛をなだめるような優しい柔らかいトーンかつ、もう後戻りできない覚悟も感じさせるような言い方がめっちゃ好き。

あと割と最初から必殺技のシーンとかで声のカッコ良さは感じてたけど、終盤になると迫力増してるからむちゃくちゃ叫びがカッコ良くて痺れた。燃えろ俺の魂!も好きだけど、個人的には「連刃!」の言い方がめっちゃ好き。だから連刃が好きなとこある。

 

ここから少々話がそれる。バニソが放送された2015年の山下さんといえば、わたしは鉄血のオルフェンズでの壮絶な演技が強烈に印象に残っていて、出演としては2~3話のゲストキャラだったのだが、山下さんの演技の中でも強烈さでいったら指折りだと思っている。当時まだ22~23歳の新人でさほど出演作も多くなかったのにあの芝居出せるのヤバすぎると震えたのだけど、だからこそバニソ1話の山下さんの演技聞くと同じ年に鉄血であの演技した人と同一人物だと思えないんだよね。それだけバニソで得たものが大きかったことがわかるし、ニチアサ見ても思うんだけど、新人にとって長期間に渡って同じ役を同じ座組で取り組めるって最高の経験なんだろうな。あと単純に山下さんは芝居に対するセンスと勘がめっちゃ良いと思った。

 

というわけで本当に見てよかった!と思える作品だった。間違いなく山下さんの出演作の中で見るべきアニメベスト3には入る。

バトルスピリッツ烈火魂 黒船襲来編いつまでも待ってるよ~~!!!

*1:1~3作目はリアタイで飛び飛びで見ていた。ほとんど記憶ないけど