長文置き場

備忘録

【BLCD】リカー&シガレット 感想

「少しずつでいいから、……俺たち、近づいてみよ?」
のんびり陽気な坂道の商店街を舞台にした、幼馴染同士のシネマティックラブストーリー!
お向かい同士で店を構える酒屋のテオとタバコ屋のカミロ。
二人は幼馴染みだが、カミロが自分に特別な想いを寄せていることをテオは知っていた。
テオもカミロを意識していたが、それが恋愛感情からくるものなのかどうかわからずにいたそんな時、カミロに「お試しでいいから付き合ってみない?」と提案され、迷いながらもテオは受け入れる。
その後、情熱的なキスをされたり優しく愛撫されたり、今までと違う雄の顔を見せるカミロにテオは……?

https://www.marine-e.net/sp/lc/

 

〇キャスト

テオ:山下誠一郎
カミロ:山中真尋
ディエゴ:高橋英則
マリノ:阿座上洋平
エランド:山谷祥生

 

山下さんと山中さんのペアは最悪な男と三角オペラに引き続き3回目。

調べてみたら原作の評判がめちゃくちゃ良くて、ちるちるのBLアワード2019のBESTコミック部門で1位、このBLがやばい!2019年版では3位に入っていた作品。原作の面白さは申し分なしなのと、あらすじからもエロ重視というよりはほのぼの系っぽかったので安心して購入。

 

結論から言うとマジで良すぎて「大当たりじゃん!!!!!!」って絶叫した。

まず山下さんのトーンがめっっっっっっっちゃ好きなやつだった。地声に近い感じ?やんちゃで歳相応のハキハキとした男の子!って感じのトーンで、喋って1秒で勝利を確信した。低めでしっかりした声なんだけど、感情豊かな子なのでめっちゃくちゃ可愛いし、いやほんとあのトーンで可愛さ出せるのがすごいんだよな……。

 

これはずっと言っていることなのだけど、山下さんはサイコパスとかではない普通の男の子を演じているときが個人的に1番輝いていると思っていて、普通の男の子が何か重大な問題に直面して、普通に悩んで傷ついて葛藤する演技をしているときが1番好き。

でもって、テオはまさにそういう感じのキャラクターなので本当に好みドンピシャだった。普段は元気いっぱいで威勢が良くてやんちゃなテオが、カミロ絡みになるとあたふたしたり優柔不断になったりするギャップとか、最初は戸惑っていたものの徐々にカミロとの関係を受け入れていく心の変化とか、丁寧に素朴に演じていらっしゃったなあと思った!

 

山下さんは声が低くてしっかりしているので、受けで聞くなら攻めのキャストは山下さんと同じかそれより低い人がいいところはあるものの、山中さんのこのトーン飄々として色っぽくて好きなんよなぁ。山下さんの声に対して声が高めで線が細くて儚い系なのは若干頼りなく感じなくもないけど、カミロの大人っぽくてセクシーな感じによく合っていてすごく良かったな。

最悪な男のときは2人の声の音量バランスがアレで絡みシーンのときすごく気になったけど、こちらはきちんと調整されているのでストレスフリーに聞けた。

 

とはいえエロシーンはそれなりにあるものの、キスから段階的に引き上げていく感じなので、本番の回数はさほど多くなかった。エロ厨ではないのでそれは全く構わないのだけど、最近聞いていた作品がサハラやら男はじだったので全然ヤらない……と思ってしまうなどした。エロ聞くの苦手だったのに慣れって怖いね!

個人的にカミロの「テオの……おっきしちゃったね」からのテオの「んぐぅぅぅ~~~~~………!!!」がめっちゃ好き。カミロの本編イチのパワーワードだし、テオの噛み潰しているようなリアクションが可愛い。

でも1番好きなのは酔っぱらったテオがカミロに「お前って男と女で触り方違ったりするの」「女の子にはもっとえっちで優しい触り方とかすんの?やっぱ男だと違ったりすんの?」「お前モテんのにさ、最近全然作んねえのって、俺が理由?」って質問責めするとこ~~!!!シリアスなんだけど、お酒が回っているのでとろーんとしたトーンがめっちゃ可愛くてほんのり色っぽくてマジで良かった……。

山下さんっていくつかBL作品聞いても、受けのときの絡みシーンのとき色気がんばえー!!!ってなってしまうんだけど(ヤダヤダ感が強いので無理やり襲われてるときはめちゃくちゃ良い)、普通の会話してるときの方が妙に色気あるセリフ回ししてたりするとこある。

 

話としては、ウェットだったりセクシーな部分もかなりあるのに、全体を通した雰囲気が不思議とカラッとしていて聞いていてすごく心地よさがあった。明るくてにぎやかなところもあるし、テオのモノローグは感情豊かなのだけど、2人の関係性は静かにまったり進んでいくので、悶々とした関係性ながらも穏やかな気持ちで聞けるというか。

強引な展開があったり悪人が出てくるわけではないのでそういった意味でも本当にストレスなく聞ける作品だった。

 

あと脇がめちゃくちゃ良かった!キャラクター的にもキャスト的にも良かった!ディエゴ役の高橋さんとマリノ役の阿座上さんの低音組がめーーーーっちゃカッコ良くて、それほど出番は多くないながら印象に残ったなあ。

 

最後に余談。リカシガのインタビューでの山下さんがめっちゃ印象的なことを言っていた。

(テオは)デリケートなところがあって、カミロに対する特別な感情を抱きながら悶々と生きてきた子で、高校生のときからじわじわと心に低温やけどを負っているような感覚があって……そういう複雑でセンシティブな感情を持った子が、カミロと過ごしていくにつれて少しずつ自分の中で答えを見つけ、迷いが晴れていくお話だと思うので、そういった過程や心の機微をお芝居に乗せられるように意識しました。

http://marine-e.seesaa.net/article/462638168.html

 「心に低温やけどを負っているような感覚」というフレーズがすごい。思わず低温やけどでググっちゃったんだけど

皮膚に高温が作用して起こるやけどのうち、比較的低い温度(約40~50℃)で生じるものを「低温やけど」といいます。これは、短時間の接触では問題とならない程度の温度が、長時間にわたって接触部分に作用することにより生じます。そのため、自覚症状が現れにくいのが特徴です。本人も気づかないうちに皮膚の奥まで損傷していることが多く、高温が短時間作用するより重症化しやすいとされています。

https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/low_temperature_burns/

まんまカミロに対するテオのことでビックリした。あまりにも的確な比喩。それだけちゃんとキャラクターのこと咀嚼してしっかり解釈して演技されてるんだなあと思うと、ますます役者として信頼してしまう。それにしても惚れ惚れする言語センスだなぁ。

演技聞いているだけでもキャラクターに寄り添いながらお芝居している誠実さがすごくうかがえるけど、インタビュー読むとやっぱり芝居やキャラクターに誠実な人だということがわかってすごく良かった。

 

日に日に山下さんへの信頼と贔屓の気持ちが高まっていくので困る。そして前回の記事でBLCD聞くペース落ちるとか言ったけどアレは嘘。給料入ったらめちゃくちゃ購入してしまったので、来月も今月と変わらないペースで感想をあげると思う。